生産者

ワインの個性はブドウ品種やテロワールに左右されますが、生産者の哲学も重要な要素です。たとえば、同じボルドー/ポムロールのメルロー主体でも、シャトー・ペトリュスはコンクリートタンクを用い年間約3万本の少量生産。10年以上の長期熟成が前提の緻密で荘厳なクラシックスタイルを追求します。シャトー・ル・パンは新樽のフレンチオーク小樽を用い、年間7,000本前後と超少量生産。5年目くらいから楽しめる果実味あふれる官能的なモダンスタイルが特徴で、両者の味わいは大きく異なります。
シャトー・ラヤス
Château Rayasは、南フランス・ローヌ地方のシャトーヌフ・デュ・パプに位置する、極めて異質で孤高の存在と称される名門生産者です。一般的なシャトーヌフ・デュ・パプが複数品種をブレンドするのに対し、ラヤスは100%グルナッシュを使用。そのブドウは非常に樹齢が古く、砂質土壌がもたらす優雅な抽出、全房発酵と古樽による熟成により、ピュアで透明感のある、まるでブルゴーニュを思わせるとしばしば称されるエレガンスを備えたワインが生まれます。濃厚さよりも繊細さを重視したスタイルは、他のシャトーヌフとは一線を画します。
現当主エマニュエル・レイノーは寡黙な職人気質で知られ、メディアの取材もほとんど受けません。かつて父ジャックが畑の一部にあまり手を入れず、自然な状態でブドウを栽培し、「なぜ、もっと畑を手入れしないのか?」「荒れたままで良いのか?」と質問された時、「自然との対話が必要なのだ」と答えたという逸話は、ラヤスの哲学を象徴しています。商業主義に背を向け、テロワールの純粋な表現を追い求める姿勢が、世界中の愛好家を惹きつけてやまない理由です。

市場参考価格は国内オンラインショップのうち品質に気を配っていると思われるショップ約20店舗の毎月月初の最高値を表示しています。

詳細はhttps://www.wine-searcher.com/average-priceをご確認ください。