生産者

ワインの個性はブドウ品種やテロワールに左右されますが、生産者の哲学も重要な要素です。たとえば、同じボルドー/ポムロールのメルロー主体でも、シャトー・ペトリュスはコンクリートタンクを用い年間約3万本の少量生産。10年以上の長期熟成が前提の緻密で荘厳なクラシックスタイルを追求します。シャトー・ル・パンは新樽のフレンチオーク小樽を用い、年間7,000本前後と超少量生産。5年目くらいから楽しめる果実味あふれる官能的なモダンスタイルが特徴で、両者の味わいは大きく異なります。
クロ・ド・タール
Clos de Tartは、ブルゴーニュ・モレ・サン・ドニ村に位置する、**1141年創設の特級畑(グラン・クリュ)モノポールです。歴史・規模・品質の三拍子がそろった稀有な存在で、約7.5haの区画すべてを単独所有し、自社で栽培・醸造・瓶詰まで一貫して行っています。
醸造においては、低収量での栽培と全房発酵の比率調整、区画ごとの個別醸造などにより、繊細さと力強さを併せ持つ長熟型ピノ・ノワールを生み出します。1996年から2014年までドメーヌを率いたる醸造責任者シルヴァン・ピティオは、かつて在籍したロマネ・コンティの技術と哲学をクロ・ド・タールに持ち込み、評価を落としていたドメーヌを立て直しました。
2017年、フランソワ・ピノ(グッチやクリスチャン・ラクロワなどを擁するケリング・グループ創業者)の手に渡ったことでも話題に。「ワインの真の価値は畑にある」と語ったピノ氏は、1本のクロ・ド・タールを飲んで買収を即決したとされ、ブルゴーニュのテロワール信仰を象徴する逸話として語り継がれています。

市場参考価格は国内オンラインショップのうち品質に気を配っていると思われるショップ約20店舗の毎月月初の最高値を表示しています。

詳細はhttps://www.wine-searcher.com/average-priceをご確認ください。